標高と海抜の違い
日本は、山があり、川があり、海があり、とても起伏に富んだ地形からなりますが、そういった国土の中で、様々な場所に「標高」や「海抜」の表示が設置されています。特に海の近くに住んでいる方は、防災の観点から、万一の津波や高潮などに備えて、海抜の高い安全な避難場所を把握しておくことが必要です。
ここでは、知っているようでいて意外と知らない「標高」と「海抜」について、その意味や違いを簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
標高の意味
標高(ひょうこう)は、ある地点の平均海水面からの高さをいいます。これは、日本では、東京湾の平均海面を基準(標高0メートル)として測られており、また東京湾の平均海面を地上に固定するために設置されたのが「日本水準原点」です。
現在、日本全国の主要な道路沿いに設置されている水準点(約17,000点)の高さは、日本水準原点に基づいて水準測量により決められ、この水準点がその地域において行われる高さの測量の基準となります。
※沖縄や離島などについては、基準海面が別途定められている。
●平均海面
常に変動して一定しない現実の海面ではなく、潮汐や波がなく、海流もない仮想的な静水面をいう。
●日本水準原点
東京都千代田区永田町1-1の国会前庭北地区内(憲政記念館付近)にあり、1891年に水準点の高さを定めるために設置された。現在、標高は、24.39メートルであるが、地震等の地殻変動で変わるため、神奈川県三浦市三崎にある油壺験潮場から定期的に水準測量を実施し、標高の値を点検している。
海抜の意味
海抜(かいばつ)は、近隣の海面からの高さをいいます。これは、その地域の近隣の海面を0メートルとし、そこからの高さを測ったものですが、実際は、同じ場所にもかかわらず、海抜と標高で違う数字が表記されると混乱するため、沖縄や離島など一部の地域を除いて、標高も海抜も東京湾を基準にしています。
一般に海抜は、津波や高潮などの災害対策に主に用いられているのに対して、標高は、山や高原など土地の高さを表す時に用いられています。そのため、海に近い地域の方は、海抜表記を目にする機会が多いです。なお、国土交通省の国土地理院では、「海抜」という用語は、オフィシャルには使わないそうです。
標高と海抜の違い
最後に「標高」と「海抜」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
◎本来、「標高」と「海抜」の違いは、基準となる海面が「東京湾」か「近隣の海」かになるが、実際は、「標高」も「海抜」も東京湾を基準にしているので同じになっている(沖縄や離島など一部の地域は、東京湾が基準ではない)。
◎通常、「標高」は、山や高原など土地の高さを表す時に用いられるのに対して、「海抜」は、津波や高潮などの災害対策に主に用いられている。