減速材
【読み方:げんそくざい、分類:原子力】
減速材は、原子炉内において、核分裂で新しく発生した中性子(高速中性子)をエネルギーの弱い中性子(熱中性子)にまで減速させ、次の核分裂を起こしやすくする物質(材料)をいいます。例えば、ウラン235は、スピードの遅い中性子(熱中性子)と衝突すると核分裂がしやすい性質があるため、ウランを燃料とする原子炉の中で核分裂を効率よく起こすためには、核分裂で生じた高速の中性子を熱中性子にまで減速させる必要があります。
一般に中性子は、水素元素などの質量数の小さい原子核と衝突することによってスピードを下げることができるため、減速材には、原子番号の低い元素やその化合物で、かつ中性子が吸収されにくいものが使用され、具体的には、軽水(普通の水)や重水、黒鉛、ベリリウムなどが用いられます。なお、この減速材の種類により、原子炉の種別を軽水炉や重水炉、黒鉛ガス炉などと呼んでいます。