放射性ヨウ素
【読み方:ほうしゃせいようそ、分類:原子力】
放射性ヨウ素は、原子番号53のヨウ素(I:Iodine)の放射性同位体の総称をいいます。これには、半減期が8.06日の「ヨウ素131」や半減期が20.8時間の「ヨウ素133」などが代表例として挙げられ、特にこの二つはウランの核分裂によって生成されるため、原子力発電所の事故では最も注目される放射性核種となっています。また、放射性同位体とは、同位体のうち不安定で、放射線を出して崩壊するものをいいます。
一般にヨウ素は、甲状腺(首の付け根付近にあり、エネルギー代謝にかかわるホルモンを作り出す器官)に集まりやすい性質があるため、体内に取り込むと甲状腺被ばくによる甲状腺機能障害を起こす危険性があります。その一方で、甲状腺に集まりやすい性質を利用して、医療面でヨウ素131を経口投与して甲状腺亢進症や甲状腺がん等を治療するアイソトープ治療などにも用いられています。