メルトスルー/溶融貫通
【英語名:melt-through、分類:原子力】
メルトスルーは、「溶融貫通」とも呼ばれ、メルトダウンして溶け落ちた高温の核燃料の塊が、原子炉圧力容器の底や、さらに外側の原子炉格納容器の底を溶かして突き破ってしまう最悪の事態のことをいいます。また、メルトダウンとは、炉心冷却が不十分な状態が続き、あるいは炉心の異常な出力上昇によって炉心にある核燃料が過熱し、燃料集合体または炉心構造物が溶融するという深刻な事態をいいます。
一般にメルトダウンして溶け落ちた核燃料は、自ら発する崩壊熱により高温となり、その温度は鉄の融点よりも高いです。そのため、この状態において、冷却が不十分であると、厚い鋼鉄製の原子炉圧力容器や、それより薄い原子炉格納容器の壁を溶かして突き破ってしまい、ついには、格納容器から排水や排気などを通じて、周辺環境に放射性物質を漏洩することにつながります。また、格納容器を貫通すると、その台のコンクリートと融合して溶岩状になることもあります。
2011年3月に発生した東京電力福島第一原発事故では、原子力事故として深刻なメルトダウンが確認され、さらにそれよりも最悪なメルトスルーが発生している可能性もあるとのことです。