水棺
【読み方:すいかん、分類:原子力】
水棺は、深刻な原発事故における処理方法の一つで、原子炉格納容器の内部を水で満たし、燃料棒を水漬け状態にすることで常時冷却することをいいます。これは、炉心を水中に封じ込めることで冷却すると同時に、水分子が放射性物質の外部放出を防ぐ効果が期待されますが、一方で燃料棒が常に発熱し続けるため、高温の熱により蒸発した分の水を継ぎ足して対応する必要があります。本手法は、2011年3月の福島第1原発事故により損傷した一部の原子炉を冷却する措置として検討されたもので、その実施は世界初の試みです(1986年のチェルノブイリ原発事故では、原子炉全体をコンクリートで封鎖する「石棺」で対応)。
一般に水棺の目標は、まずは燃料棒の温度が安定して100度を下回る「冷温停止」状態を目指し、その後に燃料棒を取り出せるくらい十分に冷却された状態を目指します。なお、燃料棒を取り出せるくらいになるまでには、かなりの年月を要します。