火山砕屑流(火砕流)
【読み方:かざんさいせつりゅう、分類:火山】
火山砕屑流(火砕流)は、軽石やスコリア、火山弾、火山岩塊、火山灰などの破片状火山噴出物(火砕物)や溶岩片など、高温状態にある大小の噴出物破片が一団となって、高速で斜面を掃過する現象をいいます。これは、高温の破片物質の団塊であり、溶岩などに比べると、高温物質が空気に触れる表面積が極めて大きいため、周囲の空気を急激に加熱・膨張させて上昇気流が生じ、移動に伴って壮大な噴煙幕を作りやすいです。
一般に火砕流は、ガスと粉体化する岩石破片との高温混合物であり、その高温性と高速性から、事前の避難以外に逃れることは極めて難しく、火山災害の中でも最も危険な現象の一つです。20世紀以降で、一番大きな被害を出した火砕流は、1902年に中央アメリカの西インド諸島マルチニーク島のプレー火山で起きたもので、裾野の港町サンビエールを全滅させ、28,000人が瞬時に犠牲となりました。また、日本においても、1991年に長崎県の雲仙普賢岳の噴火で大火砕流が起きて、43人の方が犠牲となりました。